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昨今はコミケ関係を中心に書いています。同人やニコニコ動画方面で活躍される方の相互リンクをお待ちしています。

【DeNAキュレーションサイトWELQ問題】THE PAGEの記者会見動画の感想と、WELQの収益モデルをフェルミ推定してみた

昨今WELQが非難の嵐を浴びている。WELQとは医療系のWebサイトの事。インターネットの内職サイト(ランサーズやクラウドワークス)など素人を低賃金で集い、記事の量と数字で勝負のWebサイトだ。記事の量で勝負し過ぎたが故、「この文章は法律に違反している」「パクった記事が他所の記事からのパクりであり、著作権の面で問題があった」と言う事が表面化。そして今日インターネット、テレビの各メディアで炎上中だ。

私見1:記者会見動画とその感想

この問題を経てDeNAはWELQを含むサイトを閉鎖し、記者会見が行われた。記者会見の動画や全文を見る事ができたので、是非とも見て欲しい。又売上高や営業利益などを調べながら本記事を読みたいと言う人向けに決算説明会資料のページへのリンクを張っておいた。是非参考にして欲しい。

まずこの記者会見全文と動画を書き起こしたTHE PAGEに多いに感謝したい。ここからは、業界の端くれとしてこの記者会見を1から聞いてみた感想を話したい。終始相手の話にはいはいと流して逃げるDeNA。それを追う各メディア。2016年になっても日本テレビテレビ東京などテレビ系のメディアは我が物顔なのが好きになれない。

全体的にネットの記事から単に言いがかりを付けてきたような感じだ。日本の記者会見と言うのはこんなにネチネチしているのか。そして、守るDeNA側も攻める記者側の多くも企業の財務諸表、会社法著作権法など背景の情報を調べず、ただただネットの記事をなぞってるだけの質問も目立った。

夫の看病をダシに、自社の医療サイトは使える物か?と質問をしているタチの悪い記者も居て、あたかも自分のメディアでは△△に取り扱いたい。△△と記事に書く為に、□□な質問をしよう」とする記者も見受けられた。

ホントDeNAもテレビも新聞記者も、全員同類だなと実感する。この他ゲーム会社との関係、野球にどれだけ影響出るのか、記事に依って健康被害を受けた、記事のパクリ元には謝るのか?、村田マリさんが出席していないのはなぜか?と多種多様だ。

そりゃあDeNAもそんなの見ているよと言う感じで、「今後とも対処して行きます」とだけ言って逃げを続ける。その中でダイヤモンドオンラインの記者が「このようにライターの取材費用を削減して利益率を上げていますよね。逆に取材を加えると利益率が下がるのでは?」と、俺から見て的確な質問を投げていた。

又何処かの記者だったか忘れたが記事広告についても触れていて、これもナイスだと思った。記事広告とは、雑誌の記事の形を取った宣伝チラシのような物。要は求人やスーパーの折り込みチラシと同じようなもので、新聞やインターネットメディアのブランド力や集客力を利用して、広告主が商品の宣伝を行うものだ。このように様々な角度からDeNAは収益を見込んでいた模様だ。

私見2:WELQの収益モデルをフェルミ推定

さてDeNA「2016年度 第2四半期決算説明会資料」に依れば、新規事業は初期投資を回収すると言う意味で赤字であったが、2016年2Qでは15億円の売上を出していると報じられた。記者会見でもDeNA側はユーザー数が増える見通しで、収益もQ当りの10億よりも上がる見通しというフシもあった。


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以下私見2では記者会見から、WELQ等の収益モデルをフェルミ推定してみた。まずWELQの売上は、

WELQの売上(円)=各記事からの広告収入(A-1)+記事広告からの広告収入(A-2)

これより上記のA-1に着目して整理すると、

各記事からの広告収入(A-1)[円] = 各記事のPV数[PV](a_k) × 広告を踏んだPV数の割合[倍](b_k) × 広告を1回踏んだ毎に、広告配信会社からWELQ支払われる金額[円/PV](c_k)

と整理できる。(c)については業界で言う所のClick Per Costs(CPC)に当たる指標だ。上記の見立て式からも分かる通り、(a)の各記事のPV数もとい頭数が上がれば、最終的な売上(A-1)も上がる事につながる。今度は(a)を細かくぶった切ると、

各記事のPV数[PV](a_k) = google検索エンジンからのPV数[PV](D) + google以外から来た人のPV数[PV](\bar{D})

ここまでをツリー構造にまとめると以下になる。


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さらにサイトに掲載されている記事数をnとする。このとき各記事の収入A_1=\sum_{k=1}^{n} a_kb_kc_kと表せる。このような事から収入A_1を上げる為には、以下の4つを留意する必要がある。

  • 記事数 nを増やす
  • 各記事のPV数a_kを増やす
  • 広告を多くの人に踏んでもらい、 b_kを増やす
  • 記事のクリック単価c_kの多い広告会社と契約する

記事数nを稼ぐために、まとめサイトがやっている事

上記の4つの内収入に結びつけやすいのが、記事数と各記事のPV数。以下記事数nを増やす上でどうしたかを考えて行く。

「MERY」記事量産の現場 「90分に1本のノルマ」インターンが証言(withnews)に依れば90分に一本、勤務時間を7時間とすると1日1人頭生産される記事数[本]=7(時間)×60(分/時間)÷90(分)=4.6[本]生産される。又累計40時間は働かなくてはならないとのこと。仮に月42時間働いたとして一人頭1月に書く記事数(本/月)=4.6(本/日)×42(時間/月)÷7(時間/日)=27.6(本/月)。さらには常時30人と書いてあるので会社全体で1月当り生産される記事数(本/月)=27.6(本/人×月)×30(人)=828(本)が生産されている事が分かる。

コミケの記事を本ブログに書く経験上、俺が現地にいっている間に「はちま起稿」などは記事を10個近く上げている。これにはちゃんと理由があって、例えば催しの会期中で有れば有る程注目度が高くアクセスが稼ぎやすい。又はちま起稿はブランド力のあるドメイン、サイトであり10個も書けばgoogleの検索上位に出られると考える。このため広告を踏む人の割合b_kが上がり、最終的に収入A_1が上がると言う事を狙っている。

なぜこういうサイトが他所のサイトからの転用をするかと言うと、記事数nを稼ぐために手っ取り早く、記事自体もPVを多く取る為の装置に過ぎない。テレビが視聴率を多く取るだけの番組構成にし、CM視聴率や広告効果を高める手法とほぼ同じだ。一方でWELQを扱ったネット記事の多くも、DeNAと同様に収入を稼いでいる。そして、俺も俺でお客さんのかきいれどきだと思ってこのネタを書いている訳だ。

加え特定の客層に絞る、パイの大きい所から如何にお客さんを取っていくかと言う事で、人気の出そうな所のgoogle検索順位の良い所を陣取る。このやり方は基本人気の出そうな所に投資し、そこから収益を得るやり方なため、利用者や記事の内容はなおざりにされやすい欠点を持つ。とまあこの商売は数字と相性がいいため、コンサル会社や投資家上がりの人が社長なことも良く有る。

DeNAの南場会長と言えばマッキンゼー出身の方なのもあり、会見でも「会員数を上げる事で売上を上げる」と数字からの説明するフシが見られた。利用者の事無視で数字追うと失敗しますわな。自分も同じなんで南場さんに少し同情する次第である。

私見3:著作権うるさいので、著作権法32条を当たってみた

さて俺は収益モデルこそ本件の肝だと思い、難易度4の記事を皆さんに提供してしまった。多くの記事は難易度2の著作権を題材にアクセスを稼いでいるように見える。自分の憶測として、著作権=いけない」と言う図式があるため、何となく著作権と言っとけばみんな分かってくれ、同情を買ってアクセスを稼げるのが狙いだと思う。

そんな訳でただ「著作権グレーのDeNA」と言っても詰まらないので、著作権法三十二条を当たってみた。以下著作権法三十二条の抜け穴がありそうなものかを、法律の素人目線で探ってみる。以下の文を読む事で起きた損害被害などの責は負わないものとするので、自己責任にてよんでほしい。


(引用)
第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。 (著作権法より)

思わず正当な範囲内って何だよ!?って突っ込みたくなる内容。しかしながら労働基準法などに代表されるように、一般に会社と言うのはこういう部分の抜け穴を探す為に法律に詳しい人間を雇っている。そう、法律とはハッキングに似たりなのだ。

ここまで規定があいまいだと、恐らくDeNA側も記者会見前に「正当な範囲内と言う所がグレーだから、適当に記者をあしらっとけ」と言う指導を法律関係者から受けているだろう。そう思いかねない条文である。ちなみに「【Web担必読】「引用」の定義とは?著作権法第32条の基礎知識 | なんでものびるWEB 【Web担必読】「引用」の定義とは?著作権法第32条の基礎知識 | なんでものびるWEB」の内容をまとめさせて頂くと、

  1. 主従関係(自分の文章が記事の大部分を占めているか?)
  2. 明瞭区別性(自分の文章と引用した文章がはっきり区別できるか?)
  3. 必然性(文章の流れ上、他人の著作物を使う必要があるか?)
(出典:【Web担必読】「引用」の定義とは?著作権法第32条の基礎知識 | なんでものびるWEB 【Web担必読】「引用」の定義とは?著作権法第32条の基礎知識 | なんでものびるWEB)

となる。無論学校で誰かから見せてもらった作文を違った言い回しにして、自分が言ったようにするリライトというテクニックも行われていたようだ。引用を引用に見せない事でこの著作権法三十二条を回避し、自分のメディアの記事として公開していた訳だ。又は自分の文章を多く加えたり、そこに検索エンジン受けの良いワードを入れていくなどして行くという流れのようだ。

私見4:とはいっても、あれば見てしまうまとめサイト

個人的には、芸能人の発言まとめは嬉しい。俺はテレビを見ない人なので、芸能人の名言や騒動をまとめたNAVERまとめを読む事もある。というのもTVで何十時間も芸能人を追っかける必要もないし、簡単に夜のお姉ちゃんとの話のタネが手に入るので重宝している。ただ医療は危ない題材なので、医療でやるなよと言う面もある。

最後に:google頼りなのは当ブログも同じです

今回「このような記事を検索結果に載せているgoogleも悪い」と言う声もかなり聞かれる。しかしながらこのブログも含めgoogleからの流入が大半であり、現状彼らとは切っても切れない状況だ。

実際このブログの2016年11月1日から〜11月末までの、流入元を見てみる。ユーザー数が10,576件の内、6,313件(59.69%)が google、3,646件(34.47%)がyahooから来ている事が分かる。事例は悪いが、ネットのPVから売上を出したい組織程、じゃあgoogleとyahooから多くの集客を取ろうと言う話になるのはしょうがないと思っている。いやいや、天下のgoogleさんには勝てないのも本音だ。


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この業界の端くれとしていて、PVと売上が比例関係にあるサイトなんて稀だ。なので本記事で説明した事柄は全体の10%に満たない企業のみ通じる業であり、残り90%以上の企業では使えないだろう。書籍等も全体の10%の成功事例を紹介されているため、中々使えなくて困っている。とは言えどgoogleに頼らないブログ記事と言われるとほぼ無理なのも本音だ。なものでDeNAが悪い、リクルートが悪い、Speeeが悪い、サイバーエージェントが悪いと言えないのも1ブロガーの本音である。

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